新しい定性調査に関する情報マガジン バックナンバー vol.47

定性調査で「なぜ」を知りたければ「なぜ?」と聞くな!

突然ですが、皆さんは「定性調査って何のためにするの?」と聞かれたらどのように答えますか。我が国でも有名な世界のリサーチ業界を牽引するRay Pointer氏は定性調査について以下のように述べています

 

The essence of qualitative research is “why?”
(定性調査の本質は<Why:なぜ>である)

 

リサーチをよく知らない人のために、定量調査は、what(何)やhow many(いくつ)を理解するためのものであるのに対して、「定性調査とは<Why:なぜ>を理解するもの」という説明をする人も多いのではないでしょうか。

 

そう、定性調査を実施する上でのキーワードは「Why:なぜ」です。

 

  • なぜ、この人はブランドAを買ったのだろうか?
  • なぜ、この人はブランドBではなくてブランドAを買ったのだろうか?
  • なぜ、この人はブランドBを買わないのだろうか?


ブランドBのブランドマネジャーや、ブランドBのリサーチを担当している調査会社のリサーチャーは、この答えを見つけ、担当カテゴリーの購入理由や非購入理由を理解するためにグループインタビューやデプスインタビューといった定性調査を実施するのだと思います。

 

では、この答えを見つけるために、グループインタビューやデプスインタビューで対象者に何をどのように質問すればよいのでしょう。

 

  • 「なぜ、あなたはブランドAを買ったのですか?」
  • 「なぜ、あなたはブランドBではなくてブランドAを買ったのですか?」
  • 「なぜ、あなたはブランドBを買わないのですが?」

 

と聞けば、よさそうに思えますが、話はそれほど単純ではありません。もちろん、このような聞き方が全く間違っているという訳ではありません。ただ、「なぜ?」の使い方を間違えると痛い目に合うことがあるのも事実です。従来型、新しいオンライン型問わず、定性インタビュー調査において、対象者にとりあえず「なぜ?」と質問しておけばよいという単純な話ではないないというのが今回紹介させていただきたい内容です。

なぜ、インタビューで「なぜ?」と聞いてはいけないのか

繰り返しになりますが、定性インタビューにおいて、全く「なぜ?」と聞いてはいけないというわけではありません。ただし、むやみやたらに「なぜ?」と聞くのも考え直した方がよいのではないのではないかと思います(そんなインタビュー調査もよくみかけますが・・・(苦笑))。以下に、その理由を3つ書かせていただきます。

 

理由1: 「なぜ?」は攻撃的な言葉である。また、使い方によっては侮蔑的な言葉にもなる。

「この件、なぜ、君はそうしたのだ?」・・・あなたは仕事をしていて上司にこのようなことを言われた経験はないでしょうか?そして、あなたが、「えっと、これがああでこうで・・・」といったように何かその理由を答えたら、
「ちゃんと考えているのか、もっと頭を使え!」みたいに火に油を注ぐよう感じになってしまった経験をしたことがある人も多いのではないかと思います。こういうことが続くと、あなたは萎縮してしまい、以降は何も言う事ができなくなってしまいますね。これは極端な例かもしれませんが、このように「なぜ?」という言葉はとても攻撃的なニュアンスを含んでいて、使い方によっては相手を萎縮させてしまう可能性のある言葉です。

 

また最近では、広瀬すずちゃんの「なぜ(どうして)、生まれてから大人になったときに照明さんになろうと思ったんだろう」という某テレビ番組での発言が炎上して話題になりました。すずちゃんの発言の真意はともかくとして、炎上したということは、多くの人がこの発言の中に侮蔑的なメッセージを読み取ってしまったようです。
このように「なぜ?」という言葉は、使い方次第では相手を侮辱してしまう可能性も持っているようです。もしかしたら、インタビュー中に「なぜ、あなたはブランドBではなくてブランドAを買ったのですか?」と聞かれて、
「私がブランドAを買ったことをバカにされているのかしら・・・」って思ってしまう対象者がいるかもしれません。

 

言うまでもなく定性インタビュー調査においては、対象者に出来るだけリラックスしてもらい、思っていること感じていることを出来るだけ吐き出してもらうことが、有益な結果を得るためにとても重要です。そのようなインタビュー中で「なぜ?」、「なぜ?」を連発することによって対象者を萎縮させたり不快にさせたりすることは絶対に避けるべきことでしょう。

 

理由2: そもそも、対象者は「なぜ?」の答えを持っていない(意識していない)。

皆様ご存知のように、人間の多くの行動は、無意識に支配されています。だから、我々はなぜ自分がそのように行動したかを理解していないことが多々あります。そのような行動に対して「なぜ?」と聞いても、まともに答えが得られるわけはありません。

(このあたりのことは以前も書いていますのでご参考ください)
http://www.teisei-ishin.co.jp/article/15000213.html

 

先日、ある行動観察調査を行ったのですが、インタビュアーが「今、このようにやったのはなぜですか?」という質問に対して、対象者は「いや~どうしてでしょう。今まで、そんなこと考えたことなかったので・・・」と固まってしまいました。

 

またご自身のことを考えてもらいたいのですが、例えば、最近、自販機で飲み物を買った時のことを思い出してください。あなたは、その時、ペットボトルのお茶を買ったとして、なぜ、水やウーロン茶や炭酸飲料ではな
くて、そのお茶を選んだのか答えることは出来るでしょうか? 「なんとなく今日はそういう気分だったから・・・」とは答えられるでしょうが、それ以上は難しいのではないでしょうか。

 

理由3: 「なぜ?」と聞かれた対象者は答えをでっちあげる。

理由2とも関連するのですが無意識の行動に対して「なぜ?」と聞かれて対象者が固まってしまうだけであれば、まだマシです。しかしながら、対象者は、答えをデッチあげてくれます。これは、対象者が決して嘘をつこうとしているわけではなく、「謝礼も貰っているし、何か答えないと悪い」、「理由が答えられないと恥ずかしい」という意識が働き、意識せずに物語を作り上げてしまうようです。

 

「今日、自販機でブランドCのお茶を買ったのは、このお茶の香りがとてもすきだから・・・」

 

自販機での話に戻りますが、たぶん、あなたは、人に聞かれたら、その時お茶を買った理由をもっともらしく答えることが出来ると思います。でも、その時に本当にそんなことを考えて買ったかどうかは、あなたが一番よく知っているのではないでしょうか?あなたはそのような対象者の作り話に基づいてマーケティングプランを立てたいですか?

 

また「なぜ?」という質問に対して意識的に理由をでっち上げてしまうケースも多々あります。例えば、あなたが転職しようとして面接に行った際、「なぜ、あなたは転職をしようと思ったのですか?」と聞かれて「今の上司が嫌だから・・・」と正直に言う人はいないでしょう。みなさん、面接官に悪い印象を与えないようにそれなりの答えを用意して臨むかと思います。それが嘘と知りつつも・・・。このように「なぜ?」は常にでっち上げの答えを誘発する可能性を秘めている言葉という認識を持っておいた方がよいように思います。

 

以上、定性調査においてむやみやたらに「なぜ?」と聞いてはいけない理由を挙げさせていただきました。とはいえ、定性調査は「なぜ」を理解するために実施するものです。では、どうしたらよいのでしょう。以下に初級編から上級編までその対処法を紹介させていただきます。

初級編:「なぜ?」の質問を間接的な聞き方に置き換える

先ほどの「この件、なぜ、君はそうしたのだ?」という上司からの質問、これが「この件、君がそうした理由を教えてもらえるかな?」と聞かれたらどう感じるでしょうか。こう聞かれた方が、あなたはずいぶんと答えやすいのではないでしょうか。先述のように「なぜ?」という言葉は攻撃的なニュアンスを含んでいます。この言葉を、違う言葉に置き換えて質問するだけで定性インタビュー調査の対象者は、ずいぶん答えやすくなるかと思います。

 

「なぜ、あなたはこの製品を買ったのですか」

ではなくて、

「あなたがこの製品を買ったときに、あなたが考えたことを教えてください」

「あなたがこの製品を買うと決めたときに、どのようなことが影響したのか教えてください」

 

「なぜ、あなたはこの製品を使っているのですか」

ではなくて

「あなたがこの製品を使う目的を教えてください。」

「あなたはこの製品を使うことによってどのようなことを期待しているかを教えてください」

 

「なぜ、あなたはブランドAではなくてブランドBを買ったのですか?

ではなくて

「ブランドAをブランドBと比べたら、ブランドAを買ったら、あなたはより・・・・(回答を促す)」

 

と聞いてみてはいかがでしょうか?聞かれた対象者はずいぶん印象が変わるのではないかと思います。まずは、「なぜ?」という言葉を他の言葉で置き換えることが出来ないかどうかを考えてみましょうというのが初級編です。

中級編:「なぜ?」の使い方を考える

有名なメラビアンの法則によると、人の行動が他人にどのように影響を及ぼすかというと、話の内容などの言語情報が7%、口調や話の早さなどの聴覚情報が38%、見た目などの視覚情報が55%の割合と言われており、これは「7-38-55のルール」と言われています。

 

※ ただし、これはメラビアン本人が提唱していることが間違って伝わり普及してしまった「通俗心理学」であるという指摘も多くなされています。

(ご興味のある方はこちらをご覧ください)
http://www2u.biglobe.ne.jp/~hiraki/d74.htm

 

先ほどの「この件、なぜ、君はそうしたのだ?」という質問も、上司が渋い顔で声を荒げてヒステリックに聞いているのと、にこやかな表情でやんわりと聞いているのでは、あなたが上司から感じるプレッシャーは全く違うものとなるでしょう。コミュニケーションにおける聴覚情報の割合が38%かどうかはともかくですが、オンラインであろうとオフラインであろうとFace to Faceのインタビューにおいてインタビュアーの表情、態度、聞き方(言葉のトーン)がとても重要であることは言うまでもありません。「なぜ?」と聞くときにも、その聞き方、使い方、使うタイミングによって、対象者が受ける印象は全く違ったものとなります。以下に、インタビュー調査における「なぜ?」を上手に使うためのTipsを紹介させていただきます。


(以下は、Verbal Clue ResearchのJudithe Andre氏の記事を参考にしています)
http://c.ymcdn.com/sites/www.qrca.org/resource/collection/AA96A06F-BF6E-4E2C-8146-CA6898
49AE8B/Fall-2012.pdf
(P27-P32)


++「なぜ?」はメインの質問ではなく、プローブの質問として使う

「なぜ?」という質問は、ある情報に対して更なる情報が必要な時にするものです。なので、インタビュアーはいきなり「なぜ?」と聞くのではなく、様々な実態情報を得た上で、そのプローブとして利用するべきです。対象者が提供してくれた様々な経験に関する情報を「より深めさせてください」というスタンスで、そのプローブとして「なぜ?」を利用しましょう。

 

++ プローブの際も同じ言葉の繰り返しを避ける。

プローブとしても「なぜ?」という言葉の繰り返しの使用は出来るだけ避けるべきでしょう。インタビュアーから何度も何度も「なぜ?」とプローブされると、対象者は「詰問されているのではないか」、「この人は私の話を聞いていないのではないか」、「何か違う答えを言わないといけないのではないか」と感じてしまいます。繰り返しプローブをしなければいけない場合は「もう少し教えてもらえますか」、「それで・・・」といったように違う言葉を使ってプローブをすることを心がけましょう。

 

++「なぜ?」と聞くときは興味深さを表しながら、中立的なトーンで質問する。

興味深さを表しながら、中立的なトーンというのは、言葉そのものでなくて、声のトーンの問題です。例えばあなたが7人のデプスインタビューを行っていて、ある質問に対して最初の6人までが同じように回答したとします。ただし、最後の7人目だけは、違う回答をしたとしたら、期待していなかった答えを聞いたような、また驚いたトーンで「それはなぜ?」と、聞いてしまいがちではないでしょうか。もしかしたら、あなたは無意識のうちに「この人は間違っている」、「普通の人ではない」といった表情や話し方になってしまっているかもしれません。このようなことは相手に伝わるもので、知らず知らずのうちに対象者にネガティブな印象を与えているかもしれません。インタビュアーは常に中立的なスタンスを保つように気をつけたいものです。

 

++ 「なぜ?」と言葉で聞かない方法もある。

「なぜ?」と明確な言葉で質問しなくても、ボディランゲージや顔の表情で対象者になぜを問いかけることが出来ます。例えば、対象者が何か答えてくらた、言葉を発せずとも「もっとそれについて聞きたい」、「もう少し詳しく教えて」ということを、うなずいたり、アイコンタクトしたりして問いかけることが出来ます。インタビューをする人は、このようなノンバーバルなコミュニケーションを使って、「なぜ?」という言葉を使うことを減らすことも考えてみるべきだと思います。

上級編:「なぜ?」を聞かずにストーリーを聞いて「なぜ」を理解する

インタビューにおけるストーリーテリング法(ナラーティブ法)というアプローチをご存知でしょうか。あまり耳慣れない方法かもしれませんが、「なぜ?」を理解するにはとても有効な方法です。といっても、それほど難しいものではありません。また、この方法(呼び方)を意識せずとも、インタビューの中に取り入れている方も多いのではないかと思います。

 

ストーリーテリング法を簡単に言うと、インタビュアーが知りたい事に対して対象者にストーリーを語ってもらうというアプローチです。

 

例えば、最近、新車(アクア)を買ったある対象者の購入理由を知りたければ「あなたは、なぜアクアを買ったのですか?」と聞くのではなく「あなたが、アクアを買ったときの話を聞かせてください」と聞きます。もちろん対象者は様々です。検討を始めたきっかけから、購入を決定するまでのプロセスをひとつのストーリーとして語ってくれる人もいますが、うまくストーリーを語ることができない人もいます。そのような場合は、インタビュアーが適宜質問を加えたりプローブをしたりしながらフォローします。

 

これまでに何度も書いてきましたが、人の(購買)行動はコンテクストに左右されています。「あなたは、なぜアクアを買ったのですか?」と聞いても、出てくるのはせいぜい「燃費がよかったから」、「サイズがちょうどよかったから」といった答えしか得られないのではないでしょうか。しかしながらストーリーを語ってもらうことによって、「最初に検討を始めたのは3ヶ月前だった。前の車の車検のハガキが来て、買い替えを検討し始めた」といったタイムフレームやきっかけ、「妻がご近所の友人の話を聞いてアクアがいいと言い出した」といった登場人物、「フィットも同時に検討していて最後まで迷った」といった葛藤、「最終的には、ディーラーの営業マンの熱意に押されて最終決定した」といった購入プロセスにおける重要なポイント等、購入に関わる全体像(コンテクスト)を理解することができます。

 

定性リサーチャーのDeborah Potts氏は以下のストーリーテリングの活用に関する記事で次のように述べています。

http://c.ymcdn.com/sites/www.qrca.org/resource/collection/AA96A06F-BF6E-4E2C-8146-CA6898
49AE8B/QRCAViewsSpring04.pdf
(P15-20)


「私たちがよいストーリーを聞くと、コンテクスト、深い意味、感情、そして詳細を理解することが出来る。そして、誰が関わっていて、何が重要なのかを理解する事が出来る。最も重要なのは、我々リサーチャーとクライアントがストーリーを語る対象者に共感をすることが出来る、対象者の気持ちになってその購買行動を理解することが出来るということである。」

 

また、少し古い記事ですが、直接的な質問によるインタビュー調査と、ストーリーを聞いた調査との違いを検証した実験の記事がありましたので紹介させていただきます。(全部を書くと長くなるのでそのポイントだけ抜粋させていただきます)

 

http://www.quirks.com/articles/a1993/19931201.aspx?searchID=1377090272&sort=9
 

  •  通常のインタビューで得られた回答とストーリーテリングによって得られた回答を比べると、通常のインタビューで得られた回答は「回答者の理想としている自分の姿」、「社会的規範に沿った行動」、「広告でよく流れている、そのカテゴリーのアピールポイント」等の回答がなされる傾向が強い。しかしながら、それはストーリーテリングで得られた彼らの経験とは真逆だったりする。
  • 銀行の利用に関する調査において、通常のインタビューでは、対象者はリサーチャーからネガティブな印象を持たれないような回答をする傾向が見られた。例えば、ある裕福な対象者に銀行利用のストーリーを聞いていくと、お金を引き出す際に近くのATMではなくて遠くの銀行に行くのは、その銀行に行くと丁寧に扱ってもらい優越感を得ることが出来るからであるということが推測された。しかしながら、通常のインタビューにおいて、そのようなコメントは全く聞くことが出来なかった。
  • 飲料ブランドの選択に関する調査においては、通常のインタビューで得られた飲料ブランドの選択理由は、そのブランドのテレビCMで訴求されているポイントが語られる傾向が見られた。
  • アルコールに関するインタビュー調査で、ある女性に「なぜワインをよく飲むのか?」を聞くと、「味が好きだ」という回答が得られた。その後、ワインを飲み始めたときのストーリーを語ってもらうと、父親からワインは女性向けの飲料であるという先入観を植え付けられおり、ビールや他のアルコール飲料を女性が飲むのは恥ずかしいといった意識を持っていることがわかった。
  • ストーリーテリングが効果を発揮する調査の例として
    ++カスタマーのセグメンテ―ションを行いたいようなプロジェクトにおいて、ライフスタイルやワークスタイルについての様々なアトリビュートを見つけたい時
    ++購入や利用がルーティーン化していて無意識に行われているような製品カテゴリーの調査にも活用すべき。無意識な購入に対して「なぜ?」を聞いても何も得られないのは言うまでもない。
    ++回答に、「正解」、「政治的に正しい」といった要素が影響する可能性があるような場合
    ++その製品/サービスの選択が、利用者のセルフイメージと関連する可能性があるようなカテゴリー(例えば車やファッション等)の調査。
    ++コミュニケーションストラテジーを探るための調査。対象者の利用ストーリーは、その製品利用のメタファーを含み、コミュニケーション戦略に上手く利用することが出来るかもしれない。
    等がある。
  • ストーリーテリング法の一番の弱点はインタビューに時間がかかること

 

 

最後にストーリーテリングについて少し私から補足させていただきます。

 

日本における偉大なマーケターの一人であるセブン―イレブンの鈴木会長は「売り手は『顧客のために』ではなく、『顧客の立場に立って』考えなければいけない」とおっしゃっています。

 

「私達が“顧客のために”と考える時にはたいてい、自分の経験をもとに“お客とはこういうものだ”、“こうあるべきだ”という決めつけをしています。
(中略)
今の時代に本当に必要なのは、“顧客のために”ではなく “顧客の立場で”考えることです。“顧客のために”は自分の経験が前提になるのに対して、“顧客の立場で”考える時は、自分の経験をいったん否定しなければなりません。」


(詳しくはこの本をお読みください)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/asin/4532194547/wakatta-22/

(要旨だけ知りたい方はこちら)
https://www.utobrain.co.jp/review/2005/060100/


では、我々が「顧客の立場に立つ」ためにはどうすればよいのでしょうか。それは文字通り、顧客の側から顧客の「なぜ」を理解することだと思いますが、そのためには何が重要なのでしょうか。そのためのキーワードの一つは「共感」(顧客の喜怒哀楽の感情の共有)だと思います。我々は顧客の「なぜ」を頭だけではなく、心でも理解することが大事なのではないでしょうか。そして、そしてストーリーテリングは、通常のインタビューでは得ることが難しい、この顧客に対する「共感」を得るための有力な方法のひとつだと思うのですがいかがでしょうか。

 

相変わらず、長くなってすいませんが(苦笑)、あともう一つだけ補足です。今回は、一応、初級編、中級編、上級編と紹介させていただきましたが、もちろん今回紹介させていただいたアプローチ以外にも、様々な「なぜ」を理解する方法があり、その中の一つに、実は超上級編があります。

 

「なぜ?」を聞いてはいけない理由2の「そもそも、対象者は「なぜ?」の答えを持っていない(意識していない)」ということに対してどのようにアプローチしていけばよいのでしょう。これは、まさに今、リサーチ業界に突き付けられている課題ですね。そのアプローチとして、行動観察的な調査や、言葉に頼らずに感情を理解しようとする調査(脳波測定、顔表情分析等)といった手法が注目されているのはご存知の通りです。行動経済学への注目も同様です。これらについて、今回は書きませんが、「なぜ」を理解したいマーケターと定性リサーチャーは、このような手法の発展にも常に注目しておく必要がありそうです。