新しい定性調査に関する情報マガジン バックナンバー vol.76

Withコロナ時代のグループインタビュー

新型コロナウイルスは定性調査業界にも大きな影響を及ぼしました。これまでの定性調査における主力手法であった会場で実施するグループインタビューやデプスインタビューが実施できない状況になってしまったのは皆さまご存じの通りです。それでもデプスインタビューに関しては、オンラインへの置き換えが進み逆に活況になっている感もあります。一方でグループインタビューは、なかなかオンラインへの置き換えが進まず、その存在は小さくなる一方です。

 

最近では会場でのグループインタビューを再開する会社様も出てきてはいるようですが、コロナの第三波も心配になってきた今日この頃、今後、再び延期や中止せざるをえない事態が起きかねない状況です。

 

コロナ禍の終息が見えない今、我々、定性調査業界も当分はWithコロナ時代を生き抜いていかなければなりません。このWithコロナ時代にグループインタビューはどうなるのでしょうか。昔のような定性調査=グループインタビューという時代は再び来るのでしょうか。今回はWithコロナ時代にオンラインとオフライン(会場)でグループインタビューをどのように実施するのかということについて考えてみました。

 

グループインタビューの現状

3月頃に新型コロナウイルスの問題が深刻になってから、調査業界には何が起きたのでしょうか。これは、皆様よくご存じなのでここで書くまでもないことかもしれませんが注目すべきは次の二点かと思います。まず一点目はそもそもの調査案件のキャンセル/延期が発生し調査会社の売り上げが激減したということ。そして、二点目は、キャンセル/延期になった案件の大部分が対面型インタビュー調査であったということです。

 

調査会社の売上激減の状況に関してはJMRAが8月に実施した緊急調査によって、その状況があきらかになっています。回答企業44社における4-6月の売り上げは昨対比67.5%、特に売り上げ規模が2億円未満の12社においては前期比56.2%と、特に小規模な会社様において厳しい状況になっているようです。

 

そして、この落ち込みの要因が何であるのかということに関して我が国における統計的なデータは見つかりませんでしたが、会場で実施するグループインタビューやデプスインタビューといった対面型インタビュー調査(加えてCLT調査)の案件が延期やキャンセルになったというのが大きな理由であろうことは業界関係者の共通した認識かと思います。

 

ちなみに我が国以外でそれらしきデータがないか探してみたところRobas Researchという会社が463名のクライアントサイドのリサーチャーに対して9月に実施したThe 2020 Q Report work life studyという定量調査の結果記事を見つけました。下記はその記事からの抜粋させていただいたチャートです。Traditional Focus Group(会場でのグループインタビュー)とIn-person interview (会場や訪問でのデプスインタビュー)、In-person ethnography(エスノグラフィ)といった対面型の手法が激減して、オンライン手法が激増しているという結果が明確になっています。

Source: Quirk’s - Researchers, facing pandemic, are undaunted, ready for the challenge

このRobas Research社は米国とインドで事業を行っているようで、この対象者が米国のコーポレートリサーチャーなのか、インドのリサーチャーなのか、それともグローバルの様々な国のリサーチャーが混ざっているのかよくわかりません。ただ、この調査を日本で実施したとしたら同様な結果になるものと思われます。

 

さて、コロナウイルスの影響で対面でのグループインタビューとデプスインタビューが実施できなくなって何が起きたのでしょうか。これも周知の事実なので言うまでもないかと思いますが、多くの会社様がZOOMなどのオンライン会議ツールを利用したインタビュー手法(オンラインインタビュー)に取り組み始めました。以前からオンラインインタビューに取り組んでいる弊社にも3月以降お問い合わせが殺到し、詳しく数えたわけではないですが感覚的にはそれまでの10倍くらいオンラインインタビューへのお問い合わせが増えたような気がします。

 

そんな中、弊社は現在も多くのお客様に様々な案件のオンラインインタビューのシステム提供や運営サポートをさせていただいておりますが、弊社が現在実施させていただいているオンラインインタビュー案件においてグループインタビューの割合は1割にも満たない感じでほとんどがデプスインタビューといった状況です。多少の割合の前後はあるにしろ、多くのオンラインインタビューを実施されている会社様でも同じような傾向ではないでしょうか。これまで業界的には会場でのグループインタビューとデプスインタビューの割合が6:4か5:5くらいであったことを考えると、オンラインでグループインタビューがあまり実施されていないことは明確です。

 

「デプスインタビューはオンラインでも十分代替できる。むしろ様々なメリットもあり今後はオンラインがデプスインタビューのメインストリームになるのではないか。一方でグループインタビューはオンラインで実施するのにはまだまだクリアすべき課題があるので利用しにくい」

 

といった声をよく耳にします。オンラインでグループインタビューを実施する際の障壁になっているのはどのようなことなのでしょうか?

 

※なおオンラインでのグループインタビューというと、掲示板形式(テキストベース)のインタビューも含むと考える方もおられるかもしれませんが、今回の記事ではZOOM、Teams、V-cube等のお互いの顔をみながらリアルタイムで音声会話ができるオンライン会議ツールを利用したグループインタビューということに話を限定させていただきます。

グループインタビューをオンラインで実施する際の障壁

デプスインタビューに関しては、オンラインへの移行が順調に進んでいるようです。一方でグループインタビューに関しては、まだ実施を躊躇されるお客様も多く、手探り状態、試行錯誤状態といった感じではないでしょうか。では、グループインタビューに関して何がオンラインへの移行の障壁となっているのでしょうか。大きくは以下の2点に集約されると思います。

 

1. (デプスインタビューと比べて)運営が複雑になりシステムトラブルが起きやすくサプライヤー側が実施を敬遠しがち

2. グループインタビューで重要とされる「グループダイナミクス」がオンラインでは得にくい

 

以下に、この2点に関してもう少し説明させていただきます。

 

 

1.(デプスインタビューと比べて)運営が複雑になりシステムトラブルが起きやすくサプライヤー側が実施を敬遠しがち

オンラインインタビューはシステムトラブルとの闘いです。現在でこそ安定感は増してきてスムーズにインタビューが実施できることがほとんどですが、それでもインタビュー時に対象者の映像や音声が映らない/聞こえない、途中で途切れてしまった等々のシステムトラブルが発生します。また、それを出来るだけ防止するために、対象者の環境に関して事前チェックが必要であったりインタビュー時にトラブルが起きた際のトラブルシューティングが必要であったりと運営側には様々な労力が必要となります。なお、このトラブルは「パソコンのスペックが低い」、「ITリテラシーが低く操作方法がわからない」、「ネット回線の帯域が映像/音声を送受信するために十分ではない」等々、基本的には対象者の環境やITスキルに起因するものがほとんどです。

 

このシステム面でのトラブルはデプスインタビューと比べてグループインタビューは圧倒的に多くなります。その理由は単純で、デプスインタビューの場合、1名の対象者に起こるトラブルの確率が、グループインタビューで対象者が6名であれば確率が6倍に跳ね上がるからです。また、通常ZOOM等のインタビューで使用されるオンライン会議システムは1対1のビデオ通話場合よりもグループでのビデオ通話の方が、PCスペックやネット帯域が必要になり、実際にトラブルが起きる確率はデプスインタビューの6倍以上になるものと考えられます。クライアントが時間を作ってモニタリングしているインタビューがシステムトラブルで中断してしまった、中断だけならまだしも継続できなくなってしまった・・・これはサプライヤー(調査会社)にとってはかなり肝を冷やす絶対に避けたい事態です。そこで、オンラインでのグループインタビューはできれば避けたいと考えるのはサプライヤー側にとって自然な心理かと思います。

 

 

2. グループインタビューで重要とされる「グループダイナミクス」がオンラインでは得られない

もうひとつの大きな要因はグループインタビューで重要とされるグループダイナミクスがオンラインでは起きない・得にくいと考える方が多いからだと思います。この問題を考えるためにはそもそもグループダイナミクスとは何かという議論から始める必要がありますが(この点に関してはこの記事をごらんください)、一般的に考えられている、「ある対象者の発言に、他の対象者が触発され、新たな発言が生まれ、議論が深まっていくといった現象」もしくは「単に盛り上がる現象」はグルイン会場のような同一空間で議論している参加者間と比べてパソコン/スマホの画面越しで参加している対象者の間では、生まれにくいというのは紛れもない事実だと思います。

 

ではなぜ、パソコン/スマホの画面越しでのグル-プインタビューでは、会場でのグル-プインタビューと比べてグループダイナミクスが生まれにくいのでしょうか。

 

この点に関して、先日NHKの「ためしてガッテン」で放映されていた「心をつなぐ○○パワー!ビデオ通話の極意」という回が非常に興味深く納得させられました。ご覧になられていない方は、ここを見ていただけば大まかな内容はわかるかと思います。簡単に言えば、パソコン/スマホの画面越しでのビデオ通話でダイナミクスが生まれにくいのは、パソコン/スマホの構造上、会場グルインと比べて参加者の「うなずき」と「ジェスチャー」が減るからで、それが発言者に話しにくくさせ発言が減るというのが大きな理由なようです。

 

ちなみに、デプスインタビューの場合は対象者はインタビュアーさんと1対1で対峙しているため、インタビュアーさんのうなずきや相槌といった反応が画面越しでも比較的伝わりやすいためオンラインでも話しにくいといった感覚はあまり持たれないようです。そもそも相手の顔が全く見えない電話で会話することに多くの方が慣れているので、話しやすさにおいて視覚的な反応が必要なのはグループセッティング特有の問題なのかもしれません。

 

 

またパソコン/スマホの画面越しだと自分が話しだすタイミングがつかみにくいので、自発的な発言が少なくなりがちだということもオンラインでグループダイナミクスが起きにくい理由として挙げられます。人間は同一空間にいる場合は、だれか他の対象者が話し終わって、次に自分で話してもよいのだということが何となくの空気感(モデレーターの視線や、他の人の様子)でわかるようです。オンラインの場合は、その空気感がないため、次に自分が発言すべきか、発言してもよいのかがわかりにくいため自発的な発言が減ってしまいダイナミクスが起きにくくなるようです。話し出すタイミングがつかめず対象者二人が同時に話し始めてしまい「どうぞ」、「どうぞ」とお互いが譲り合ってしまうのは会場では見られないオンライングループインタビュー特有の現象です。

 

 

以上、このセクションではオンラインでのグループインタビューの難しさと利用されにくい理由を述べさせていただきました。では、オンラインのグループインタビューは実施しない方がよいのでしょうか。いいえ、決してそんなことはありません。工夫次第でオンライングルインのクオリティは改善します。次のセクションでは、弊社がお勧めするオンライングルインのクオリティ改善策を紹介させていただきます。

次回のオンライングループインタビューを成功させるための10のTIPS

これまでの議論を踏まえて以下にオンライングループインタビューのアウトプットクオリティをアップするための10のTipsを紹介させていただきます。このTipsは弊社の長年の経験に加えて、この記事この記事を参考にさせていただきました。

 

Tips1:参加者の人数は3人か4人に絞る

これは多くの皆さんが気付いてすでに実践されていることかと思います。我が国において会場グループインタビューの参加者は6名というのが定番になっていますが、オンラインでのグループインタビューは、参加者が3名または4名のグループで構成することがおすすめです。前述の通り、参加者人数が多くなれば多くなるほどシステムトラブルが発生するリスクがあがるので、まずは運営面の負担を考えると人数は絞った方がよいと思います。また、これも前述の通りですがオンラインでは参加者間におけるインタラクション(ダイナミクス)が起きにくいということがあり、参加者が6人もいたら、全くディスカッションに参加しない人が発生してしまう可能性が大で、そのケアに対するモデレーターさんの負担も大きくなります。また、過去の記事で紹介させていただいたように人間は3名か4名のほうが話しやすくダイナミクスが起きやすいという説もあります。

 

Tips2:グループにサクラを入れる

先ほど紹介した「ためしてガッテン」では、オンライン通話で議論が盛り上がらないときには「心からうなずく」担当を設けることを提案しています。このテクニックはオンライングループインタビューでもグループダイナミクスを生むための有効なテクニックだと思います。

 

この「うなずき担当」はいわゆるサクラです。サクラと呼んでしまうとよくない印象を持つ方もいるかもしれませんが、うまく活用すれば第2のモデレーターとして議論を深める存在にもなり得ます。例えば、あるコンセプト評価で対象者全員が高評価な場合、このサクラが、そのコンセプトに対してネガティブなポイントを指摘したら、どの様な反応が起きるかを観察する・・・これこそが真のグループダイナミクスの役割かと思います。

 

この「うなずき担当」は調査会社の人間が担ってもよいですし、クライアントがこの調査の委託先だと身分を明かしたうえで担うのもアリだと思います。もちろん、クライアントがグループに参加することによって発言にバイアスがかかるということも事実なので、だれがサクラになるかはトピック等によって、うまく使い分ける必要があるかとは思います。

 

Tips3:梅澤式グループダイナミックインタビューのテクニックを取り入れる

何度も繰り返しになって恐縮ですが、オンラインでのグループインタビューはオンラインという空間の特性上、放っておくと対象者間のインタラクション(ダイナミクス)が起きにくく、モデレーターと対象者との1対1の質問の繰り返すスタイルのインタビュー進行になりがちです。そして、これがオンライングループインタビューが利用されにくい大きな一因となっています。この対策として対象者に「対象者間でのインタラクティブな議論を期待している」ということを意識づけすることが有効です。下記は我が国のグループインタビューの大家である梅澤先生が書かれた「グループダイナミックインタビュー」という本に載っていた図ですが、弊社では、弊社システムを使ってオンライングルイン実施いただくお客様にはセッション中に適宜この図をシステム画面に提示して下部の絵のような状態になることを期待しているということを対象者に伝えた上でディスカッションしてもらうことをお勧めしています。もちろん会場グルインのように自然発生的にダイナミクスが起きればよいのですが(会場グルインでもダイナミクスが起きないグルインもみかけますが(苦笑))、そうでないならば対象者にこちらからの望む姿を明確に伝えることによって、その姿に近づけるということも重要ではないでしょうか。何事も欲しいものは欲しいと心から伝えなければ手に入れることはできません。グルイン時のダイナミクスに関しても心からお願いすれば対象者もそれにこたえてくれるのではないでしょうか。ちなみに、このTipsはこれまで何度も使っていますが、結構効果があると思っています。

 

Source:「グループダイナミックインタビュー」(P9) (株)マーケティングコンセプトハウス編

Tips4:ホワイトボード/画面共有機能を有効に活用する

オンライングループインタビューで使用されるシステムには通常、ホワイトボード(資料呈示)機能や画面共有の機能があります。この便利な機能をうまく使いこなせればディスカッションの活発さやスムーズさは格段に変わります。

 

例えばグループインタビューの最初は自己紹介から始まることがほとんどですが、会場グルインでモデレーターさんが

「最初は自己紹介からお願いします。名前、家族構成、お住いの最寄り駅、お仕事、それと最近はまっていることを教えてください。では、●●さんから順番に右回りでお願いします」

 

みたいに始めることが多いのではないでしょうか。そうすると、3番目くらいの対象者が

「名前は■■です。最寄り駅は都営新宿線の初台です。あれ、あと何でしたっけ?・・・」

 

次いで4番目くらいの対象者が

「名前は▲▲です。家族構成は妻が一人です。よろしくお願いします!」、(モデ)「・・・以上ですか?最寄り駅も教えてください?お仕事は?」

 

といった様子をしばしば見かけないでしょうか。

オンライングル-プインタビューにおいては自己紹介中、システム画面上に下記の様な画像を提示して進行すれば、このようなことは起きません。

 

また参加者にディスカッションを促したいトピックの際には、Tips3で紹介した梅澤ボードを画面に提示しておくことにより、参加者は常にそれを意識しながら話を進めることになるでしょう。また、各セッションごとにトピックやポイントとなる質問を提示しておけば、そこから議論が大きくそれることもないでしょう。対象者は思ったほどモデレーターの言ったことを聞いていないし、聞いていても忘れてしまいます。そこでホワイトボードや画面共有機能を使って視覚的にも常にトピック(聞きたいこと)を意識づけすることにより、議論をスムーズにコントールすることができます。

 

ただし、画面共有やホワイトボードを使うと各対象者の画面が小さくなりお互いが見えにくくなるので、使うタイミングには注意が必要です。またもちろんすべての議論をガチガチにコントロールしすぎるのは逆効果だということも念頭において活用ください。

Tips5:順番ルールを活用する

前述のように、オンライングループインタビューは、参加者からすると自分が話し始めるタイミングがつかみにくいという難しさがあり、それゆえ対象者が言いたいことがあったのに結局発言できずじまいということが起きがちです。このような状況を避けるためにモデレーターはオンライングループインタビューにおいては対象者に順番に発言させるというテクニックを会場でのグループインタビューよりも多用すべきです。また次はだれが話すべきなのかわかりやすいように「では次は●●さん、お願いします」と名前を呼びかけることも重要です。もちろん、すべての対象者の発言が必要ないトピックであれば、このテクニックは必要ありません。その場合は、次の挙手ルールを活用するのがよいかと思います。

 

Tips6:挙手ルールを活用する

自分が話し始めるタイミングがつかみにくいという問題に対しては、発言したいことがある際には手を挙げるというルールを設けることも有効です。これは、モデレーターさんが質問を投げかけて、「どなたでも意見のある方は手を挙げてください」といった使い方もありですし、誰かが発言している最中に反論があるときや、付け加えたいことがあるとき、激しく同意するときに手を挙げるといったルールをあらかじめ設けておくのもよいでしょう。挙手ルールは会場では対象者が感じている空気感をオンライン上で補いディスカッションをスムーズに進めるための強力な武器となるでしょう。

 

Tips7:常にOne more thingを意識する

これはオンラインに限ったことではありませんが、グループインタビューではモデレーターさんが発した質問に対して、他の人がベラベラ回答したので、「自分は発言しなくてよいかな」って思ったので発言しない、言いたいことはあったけど話すタイミングがわからなかったので話さなかったという対象者が必ず存在します。しなしながら、そのような対象者の中にきらりと光る意見が眠っていることも少なくありません。そこで、モデレーターさんは次のトピックに映る前にかならずこう付け加えましょう。

 

「次のトピックに移る前に言い足りなかったことはないですか?なんでもよいので思いついたことがある方は手を挙げてください」

 

Tips8:モデレーターは女優ライトを使う

ZOOM等のオンラインツールの利用が進んで急に話題になった「女優ライト」。ビデオ通話において、顔色を明るく見せたり、顔の表情をはっきり見せたりすることができるこの女優ライトをモデレーターさんは出来る限り使うべきです。モデレーターさんの部屋が暗くて、その顔色が悪ければ、それだけでグループ全体が暗い雰囲気になってしまい、参加者は話しにくくなってしまうということもありえます。また、上記の通り、モデレーターさんはうなずきを多用して対象者の発言をしっかり聞いているというサインを送ることがとても重要ですが画面が暗くてそれがわかりにくければ、せっかくうなずいてもそのサインが伝わりません。できれば参加者全員に使用してもらいたいですが、それは難しいので、少なくともモデレーターさんだけでも使用してもらいたいものです。

 

Tips9:PCのカメラに目線を向ける

会場グルインでのモデレーターさんは、基本的に各対象者の目を見て話すことが多いかと思います。また、誰か話してもらいたい対象者にアイコンタクトで発言を促すといったテクニックを使う方も多いようです。そこでオンラインでも相手の目を見て話すのが大事だと思っていたらそれは間違いです。ノート型のパソコンは基本的にはカメラがスクリーンの上部にあります。そこで、スクリーンに映る対象者の目を見て話していると、相手には伏し目でうつむいて話しているように見えてしまうのです。席の高さやスクリーンの角度を調整し、WEBカメラのレンズを正面から見つめながら話すように心がけましょう。

 

なお、会場、オンライン問わず、デビューしたてのモデレーターさんやインタビューに慣れていないクライアントさんが自分でモデレーションする際に、手元のフローを見るため下ばかり見てセッションを進めることがあります。このようなグルイン(デプスも同様)は、対象者の話がはずまず、ほぼ例外なく予定時間よりかなり早めにインタビューが終了してしまいます。これを避けるためにオンラインでは、モデレーターさんは自分のPCの画面の上部の片隅にフローを提示しながらインタビューを進めてみてはいかがでしょうか。そうなると常に前を見ながらインタビューを進めることができるので対象者も話しやすくなることでしょう。

 

Tips10:システムトラブルでグループの進行を台無しにしない

あたりまえのようで、これが一番大事なTipsかもしれません。せっかく、上記のTipsを使ってグループダイナミクスにあふれたセッションが実施できていたとしても、一人の対象者のシステム接続が途中で切れてしまって、そのリカバリーのためにセッションが中断・・・一度だけならまだしも、何度も続くようだと、それまでの進行が台無しになってしまいます。これも繰り返しになりますがオンライングループインタビューはオンラインデプスインタビューよりも、こういったトラブルが発生する確率が高まります。このようなトラブルを避けるためにも、信頼できるシステム使用しているオンラインインタビューの運営を専門にしている業者のサポートを検討してみるのもよいかもしれません。

 

以上、オンライングループインタビューのアウトプットクオリティをアップするための10個のTipsを紹介させていただきました。この中の多くのTipsは会場グルインでは実施する必要がないため、「邪道だ」、「だからオンライングルインは会場グルインとくらべて劣るのだ」って感じる方もおられるかもしれません。しかしながら、従来の会場グルイン実施が難しい今、オンラインでのグループインタビューにおいてクライアントが必要な情報をよりよく引き出すためには何ができるのかという前向きな視点で考えてみていただきたいと思います。

Withコロナ時代の会場でのグループインタビュー

 

 

ここまでオンラインでのグループインタビュー実施について述べさせていただきました。ここまでお読みいただいた方は次回、オンラインでグループインタビューを試してもみようかという気になっていただけましたでしょうか。それでもやっぱり会場でのグループインタビューへの未練が捨てきれず、やっぱりグルインは会場でやりたいという方も多々おられるかと思います。では、このWithコロナ時代に会場でグループインタビューを実施するのはどうすればよいのでしょうか。

 

最近JMRAが「対面型インタビューにおける新型コロナウイルス感染症予防対策暫定ガイドライン」というものを出されましたのをご存じでしょうか。今後、会場グループインタビューを実施する際にはこのガイドラインに沿って調査を企画運営する必要がありそうです。内容に関しての詳しくは各自読んでいただくとして、大きなポイントは以下の2点かと思います。

 

  1. 通常6人の対象者で実施するような一般的なインタビュールームの場合は、対象者、スタッフ含め、5名程度とする。

    ⇒これは言い換えるとこれまで使っていたグルインルームでグルインを実施したいのであればモデレーターが1名と対象者は4名、書記が入るのであれば3名)までに押さえろということかと思います。

     
  2. クライアントの見学に関しては、会場の広さに応じ、概ね2mの間隔を取れる人数に留めていただく。

    ⇒これは多くのグルイン会場においては、見学しにくるクライアントは限りなく少人数にしろ、従来のようにチーム全員が見に来ることはやめろと言っているのに等しいかと思います。

 

このガイドラインに沿って会場でのグループインタビューを実現するにはどうすればよいのでしょうか。以下にこのガイドラインに沿って考えられる3つの方法を紹介させていただきます。

 

 

方法1. 対象者は4名で実施、視聴者はライブストリーミングでリモート(遠隔)視聴

これまでの対象者が6名(+1名のモデレーター)でのグループはあきらめ、対象者は4名に抑えて実施するしか仕方がないようです。また、バックルームに入ることができるクライアントも限られるため、ライブストリーミング等の技術を使ってリモートでモニタリングするということが基本となるでしょう。現在、会場でのグループインタビューを再開している会社さんは、ほとんどこのようなパターンで実施しているのではないでしょうか。

 

方法2. グループインタビュー専用ルームではなく、窓のある大会議室でグループを実施、視聴者はライブストリーミングでリモート(遠隔)視聴

多くのグループインタビュー専用ルームは窓がない密閉空間で、また7人程度の人間が丸テーブルの周りに密接して座って2時間ぶっ通しで会話や発声することが求められる、コロナ感染のために避けるべき3密が発生しやすい場所です。そこで従来のグループインタビュー専用ルームでのグルイン実施はあきらめ、もっと大きな換気機能に優れた会議室のような空間で、対象者の従来のグルインより対象者間の間隔を保ちながら(かつ飛沫防止パネルを設置し)実施するという方法も考えられます。この場合は、従来通り対象者が6名で実施することも可能かと思います。

 

ただ、ワンウェイミラーのない、またバックルームにモニタリングシステムもない会議室で、クライアントはどのようにモニタリングするのだと思う方もいるかもしれませんが、この場合も活躍するのはライブストリーミングの技術です。大きなインタビュールームの近くに、これも大きなモニタリング専用ルームを用意すれば、ある程度大人数のクライアントが見にきても(プラス会場まで来たくない人はリモート視聴)三密を避けつつモニタリングが可能となります。

 

もう1点、ライブストリーミングで中継する場合、対象者一人一人の顔の表情がよく見えないのではないか、やっぱりグルインルームでの視聴よりは劣るよねと心配される方もいるかと思います。そんな方のために、今回はソースネクスト社から発売されているミーティングオウルという画期的な360度WEBカメラを紹介させていただきたいと思います。詳細はサイトを見ていただくとして、このカメラを使えば、従来のグル-プインタビュー専用会場のバックルームにあるモニターで見る以上に対象者の表情やボディランゲージを見ることができ、臨場感をもってグループの様子をモニタリングすることができます。また、ミーティングオウルは弊社ライブストリーミング.comやZOOM等にも接続できるので、その映像をインタビュー会場以外からもリモート視聴が可能となります。

 

ソースネクスト社 ミーティングオウルHP(http://meetingowl.jp/)より

方法3. リアルとオンラインのハイブリッドなグループ

大きな会議室を利用すればよいのはわかるが、やはり自社の持っているグループインタビュー会場を活用したい、なおかつ対象者6名のグループを実施したいという場合はどうすればよいのでしょうか。答えは、対象者の3~4名には会場に来ていただき、2~3はオンラインで参加して6名を揃えるというハイブリッド型のグループを実施するというのが、その答えになるかと思います。昨今、テレビ番組でもスタジオでの出演者のソーシャルディスタンスを保つために、何名かはリモート出演するケースが多いですね。このようなことが我々も出来るのかと思う方も多いかもしれませんが、最近のビデオ通話システムの進化を考えると、さほど難しいことではありません。

 

 

以上が、弊社が提案させていただくWithコロナ時代に会場でグループインタビューを実施するための3つの方法となります。

 

今回は、Withコロナ時代のグループインタビューということで、当面続くであろうコロナの渦中におけるオンライン、オフラインのグループインタビューの進め方について紹介させていただきました。

 

今、調査業界の多くの会社様は非常に厳しい状況に置かれています。売り上げが落ち込んでいる調査会社様が売り上げを回復させるには今後対面型インタビュー調査をどのように復活させるのか、またはその穴をどのようにカバーするのが最重要課題といえるのではないでしょうか。今回の記事が少しでも、その参考になれば幸いです。

 

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